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治験(ちけん)とは

新しい「くすり」ができるまで

くすりと私達の関係は、乳幼児期の予防接種などから始まり、今までにくすりを飲んだり、注射したり、使ったことが一度もないという方がほとんどいらっしゃらないほど身近なものです。特に20世紀後半からくすりによる病気の治療や予防は目覚ましい進歩をとげ、それまで治らなかった病気が治るようになったり、体への負担がかかる手術をしなくてもすむケースも増えてきました。

 

ところで皆さまは、新しいくすり(新薬)が誕生するまでの過程や費やされる年月についてご存じでしょうか。「くすり」は製薬会社の研究所で病気に対する効果が期待でき、人に使用しても安全と予測される「くすりの候補」を探すところから始まります。天然に存在している植物、土壌中の菌、海洋生物から由来する物質または化学的に合成された化合物など何百何千種類もののなかから日々探すわけです。目的とする作用を持っためぼしい候補が見つかると次はネズミやウサギなどで動物実験を行います。この段階で予測されたくすりの効果や安全性(毒性)について詳しく検証されます。しかしながら、動物と人では体のしくみが違いますので、動物実験で得られた情報をそのまま人に当てはめることはできません。「くすりの候補」が人の「くすり」になるには、必ず人での効き目(有効性)や副作用を確認しなければなりません。このように新薬の誕生には長い道のりを乗り越えねばならないため、一般に10年以上の時間を要するとされています。

 

最近、皆さまは新聞広告や病院のロビー、待合室などで「治験(ちけん)」という言葉を見たり、聞いたりしたことはありませんか?人での効き目(有効性)や副作用を確認するための試験を「臨床試験」と言いますが、特に「くすりの候補」を厚生労働省から「くすり」として認めてもらうために、科学的な方法で正確に調べる臨床試験は「治験」と言われます。現在、世の中で使われているくすりは全てこの治験を経て誕生したものです。

 

治験は、主に3つのステップを踏んで進められます。第1のステップでは、少数の健康な人を対象として「くすりの候補(治験薬)」の安全性を確かめます。次のステップでは、少数の患者さまに参加していただき、治験薬の有効性・安全性・使用方法・投与量などが検討されます。最終ステップでは、さらに多くの患者さまを対象として試験を行い、新薬としての有用性があるかどうかを見極めます。

 

今もなお、治らない病気も多く、新しいくすりの開発が期待されています。また、同じ病気で悩まれている方々に、より良いくすりを提供するためにも治験に参加していただける患者さまのご協力が必要不可欠となります。患者さまのなかには、治験への参加には関心はあるが治験のことをよく知らない、あるいは危険を伴うのではないかなどといったような不安があるかと思います。

 

当院でも以前より、治験を実施しておりましたが、平成19年4月より新たに治験管理室ができました。治験管理室では、治験コーディネーター(Clinical Research Coordinator)が治験への参加に関する不安や疑問にお答えしたり、正しく治験が行えるよう参加された患者さまの来院スケジュールや検査事項の管理、また治験期間中に生じたあらゆる事象(副作用なども含む)の早期発見に努め、患者さまが安心して治験に参加できるようサポートしております。

 

治験にご関心がございましたら、まずは主治医にご相談下さい。
(注意:当院では健康な方を対象とした治験は実施しておりません。)

 

参考資料:「くすり」と「治験」

 

治験に関するお問い合わせ

電話 052-801-1151
治験管理室:内線2206(平日 13:00-16:30)