心房細動についてこのページを印刷する - 心房細動について

心房細動について

正常の場合、心臓は1分間に50から100回の速さで規則正しく心房の収縮の後に心室が収縮しています。心房細動とは心房が1分間に300から500回の割合で細かくふるえて、そのうちの何割かが心室に伝わり心室が収縮する病気です。この結果、心房はほとんど収縮能力はなくなり、心房から心室への血液が効率よく流れなくなります。起こった時の症状としては、脈拍が不規則となり動悸や息切れ、めまいなどを感じる事が多いようです。心室細動と違って直ちに死に至るということはありません。

 

原因

弁膜症、甲状腺機能亢進症などありますが、明らかな原因が無い場合も多いようです。お酒を飲んだ後に起こる方も多いので気をつけてください。これは非常によく見られる不整脈の一つで、年齢が高くなるとともに起き易くなり、70歳を超えると5%以上の頻度でこの不整脈がみられると言われています。

 

合併症

  1. 心不全 極端な徐脈や頻脈の場合に起こる事があります。肺に水がたまり呼吸困難をきたします。
  2. 脳塞栓 心房内で血液がうっ滞するため血栓ができやすくなります。左心房でできた血栓が飛んで脳の動脈につまって脳塞栓を起こすことがあります。
 

治療

軽い場合は内服薬で発生をある程度抑えることができます。これが困難な場合は心房細動は無理に抑えずに脈拍数のみをコントロールする方針をとります。これは、不整脈の薬自体にも副作用があり、欧米の大規模臨床試験の結果によると、むしろ心房細動のままにしておいた方が合併症の抑制や生命予後の観点からみて有益である、というデータがあるからです。もちろん欧米の臨床データをそのまま日本人に当てはめることはできません。現在日本人での大規模臨床試験が進行中です。
また、最近では頻発する心房細動で薬物でコントロールできないものに対してカテーテルアブレーションといって心臓の中の電気信号の通り道をカテーテルの先端で焼き切る治療法も行われています。
心房細動の発作がよく起こる場合や持続性の場合には脳塞栓の予防のため血液を固まりにくくする薬を内服する必要があります。血液を固まりにくくする薬には抗凝固薬(ワーファリン)と抗血小板薬(アスピリンやパナルジンなど)があります。

 

ワーファリンを服用される患者様へ

ワーファリンの方がアスピリンよりも効果は強力ですが、逆に効きすぎると出血性の合併症を起こすことがあるため、安全かつ適正な治療効果を得るため定期的に血液検査を受けていただく必要があります。トロンボテストで10%~20%の間くらいに、INRという指標なら1.6~2.6くらいにコントロールできればベストですが、変動の激しい方や高齢の方はもう少し緩めにコントロールしております。納豆とクロレラはワーファリンの効果を著しく低下させてしまいますので基本的に摂取しないで下さい。その他、緑黄色野菜(パセリ、ほうれん草、青汁、モロヘイヤ、アロエ、山菜等)もワーファリンの効果を低下させますので健康食品として毎日継続的に摂取するということは避けてください。