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膠原病とは

 
 “こうげんびょう”と聞いても多くの方にはあまり馴染みのない病気かもしれません。初めて聞かれた方からは、「高原病?」、「登山する人がかかる病気?」などと言われることもあります。膠原病は一つの病名ではなく、いくつかの病気の集合体の名前です。代表的なものとしては、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、血管炎などがあります。これらは全身性自己免疫疾患と呼ばれ、免疫の暴走が原因で発症する病気です。免疫は本来、細菌やウィルスなどの外部から侵入しようとする敵から体を守るように働きます。しかし、膠原病では自分の体(自己)を攻撃するようになります。よく見られる初期症状として、長く続く発熱、発疹、朝のこわばり、関節痛や筋肉痛などがあります。寒くなると指先が白くなる(レイノー症状)などもよく見られます。

 膠原病が疑われるような場合は、採血で自己抗体という特殊な検査を行います。膠原病の特徴として、眼・耳鼻から皮膚・筋肉・関節、そして肺や腎臓などの内臓に至るまで、身体のどこにでも病気が現れます。そのため、症状が出現した部位に応じて、他の診療科と協力しながら診療を行っていきます。治療法は病気によって異なりますが、多くの場合は免疫の暴走を抑える薬剤であるステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤などを使用します。これらの薬剤は、同時に外部の敵(細菌やウィルスなどの感染)への抵抗力も下げることになりますので、手洗いやマスク、各種ワクチンなどで積極的に感染予防をしていくことが大切です。

 ここで、代表的な膠原病である関節リウマチについてご紹介します。手のこわばり・関節痛から始まり、関節が壊されて変形し、日常生活が制限されるようになる進行性の病気です。以前は進行を止めることは難しい病気でしたが、現在では早期に診断をして治療を開始することで、多くの患者さんが通常の日常生活が送れるようになっています。当科でも関節エコーと呼ばれる機器を使って、早期診断に努めています。治療薬は、通常、1週間に1回の内服薬から開始します。すぐに効果は出ないので3か月を目途に経過を見ながら、十分な改善がないようでしたら生物学的製剤(注射)、JAK阻害薬(内服)などの分子標的薬などを検討していくことになります。

 膠原病は様々な症状がでますので、最初は他の病気と区別ができないことも多くあります。また、ステロイド治療がすぐにでも必要なタイプから、治療しなくても何年もほとんど変わらないタイプまで様々です。

 当科では、膠原病を専門とする医師が複数外来を担当していますので、膠原病が心配、あるいは疑われる場合などがございましたら、一度お気軽にご相談ください。